セミナー
【終了】日本スポーツ産業学会第27回大会シンポジウム(2) 「大学スポーツのオルタナティブを考える」
日本の大学スポーツが変わろうとしている.2015〜2018年の3年余り,さまざまな関係機関や有識者が議論を積み上げ,日本版NCAA構想は実現すべき具体的施策へと昇華しつつある.関西では全国組織に先んじて,「大学スポーツコンソーシアムKANSAI」が走り始めた (18年4月).懸案だった学生アスリートの安全や学習機会の保障が果たされる,もしくは現状より改善するなら,それだけで有意義な取り組みである.
しかし,アメリカ大学スポーツの形式的な模倣が,本当に日本の大学スポーツ全体を良い方向に導くのか,懸念もある.現在,スポーツ庁が検討している大学スポーツ改革の方向性は,米NCAAに相当する日本版NCAAを設立すると同時に,各大学に米大学におけるアスレチックデパートメントに相当する部局を設置し,「アスレチック・アドミニストレータ―」と呼ばれる専門人材を配置するというものである.大学における体育会運動部の管轄と責任の所在を明確にすることは有意義ではあるが,他方で,これまで大学スポーツを課外活動として切り離してきたほとんどの大学にはそうした専門部局がなく,ノウハウや人材も乏しい.大多数の大学運動部が収益源にはならないことが予想されるなか,現段階でのスポーツ庁の構想は大学にかかる負担が大きく,参入に二の足を踏みたくなるものであるようにもみえる.
以上のような問題関心に基づき,本シンポジウムではスポーツ庁の構想とは異なる大学スポーツのオルタナティブについて考えてみたい.具体的には,1)アメリカNCAAの歴史と現状(課題)を踏まえ(川井報告),2)わが国における学生アスリートの就職活動の現状と現在進行形の日本版NCAA構想を概観する(束原報告).運動部と学生アスリートの自立(・・)に照準を合わせたところで,3)運動部主体による制度設計の事例として,京都大学アメリカンフットボール部の一般社団法人化(西村報告),4)学生アスリート主体による大学スポーツ事例として,大学野球における低学年育成リーグ(サマーリーグ)の取り組みを共有し(松橋報告),5)日本版NCAAとは異なる次元での大学スポーツのあり方を構想する(パネルディスカッション)
日時 | 2018年7月22日(日) |
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会場 | 明治大学駿河台キャンパス 101-8301 東京都千代田区神田駿河台1-1 (http://www.meiji.ac.jp/koho/campus_guide/suruga/access.html) |
川井圭司(同志社大学 教授)
西村大介(滋賀レイクスターズ 取締役)
松橋崇史(拓殖大学 准教授)
【コーディネーター兼シンポジスト】
束原文郎(桜美林大学 准教授)